学校の習字の授業で使いやすい筆は?筆耕士が教える失敗しない筆の選び方

学校の習字の授業で使いやすい筆は?筆耕士が教える失敗しない筆の選び方

目次

  1. 「弘法筆を選ばず」は本当?
  2. 筆は何を書くかで選ぶ
  3. 穂先の長さや大きさで書き味は変わる
  4. 用途別・筆選び早見表
  5. 筆を長く使うためのお手入れ方法と保管方法

 

1.「弘法筆を選ばず」は本当?

 

「弘法筆を選ばず」ということわざを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
どんな道具を使っても名人は上手にできるという意味でつかわれる言葉です。しかし実は、弘法大師(空海)は筆の重要性をよく理解していた人物でした。
空海の没後、弟子の真済によって編纂された『性霊集(しょうりょうしゅう)』には、「能書必用好筆(のうしょひつようこうひつ)」という言葉が記されています。これは「優れた書家は必ず良い筆を用いる」という意味です。
つまり上手に書く人ほど道具を大切にし、用途や目的に応じて適切な筆を選んでいたということです。書道において筆選びは決して脇役ではなく、作品作りを支える大切な要素なのです。
私自身、筆耕士として日々筆を使っていますが、書く文字や紙の大きさによって使う筆は変わります。だからこそ、筆選びは、きれいな文字を書くための大切な第一歩なのです。

 

2.筆は何を書くかでき選ぶ

 

文具クワウチでは、
「学校で使う筆はどれですか?」
「子どもの習字の授業で使う筆を探しています」というご相談をよくいただきます。
店頭にはたくさんの筆が並んでいますが、筆選びで大切なのは筆の名前や価格ではありません。

文具クワウチ筆売り場。まず確認したいのは次の3点です。

・漢字か、仮名か
漢字は、とめ・はね・はらいをしっかり表現できるコシのある筆が向いています。
一方、仮名は繊細で流れるような線を書くため、穂先が長くやわらかな筆が使われます。

・半紙か、書初め用紙、条幅か
学校の書写で使う半紙と、書初めで使う条幅では適した筆の大きさが異なります。

・学校の書写なのか、作品制作なのか
小学校の書写では扱いやすさが大切ですが、展覧会作品や創作作品では表現力も求められます。

 

3.穂先の長さで書き味は変わる

筆は穂先の長さによっても書き味が大きく変わります。自分のレベルや書きたい文字に合わせて選ぶことで、より書きやすくなります。
<下段>
短鋒(たんぽう):穂先が短い
穂先が短くコシが強いため、筆先の動きをコントロールしやすいのが特徴です。学校の書写や書道初心者にもよく使われています。
・コントロールしやすい
・楷書向き
・初心者向け

<中段>
中鋒(ちゅうほう):穂先の長さが標準
最も一般的な長さの筆です。楷書から行書まで幅広く対応でき、一本でさまざまな作品に取り組めます。
・楷書、行書どちらも書きやすい
・バランスが良い
・最も汎用性が高い

<上段>
長鋒(ちょうほう):穂先が長い
穂先が長く墨含みが良いため、線の強弱や表情を豊かに表現できます。仮名作品や行書・草書など、表現性を重視する作品に向いています。
・線質の変化が豊か
・行書・草書向き
・上級者向け

初心者の方が最初の一本を選ぶなら、扱いやすい「短鋒」または「中鋒」がおすすめです。

4.用途別・筆選び早見表

 用途 紙の大きさ おすすめの筆 おすすめの
特徴
小学校の
書写
半紙 大筆
(短鋒~中鋒)
兼毫
馬毛
扱いやすく、基本の文字を書きやすい
書道教室(漢字) 半紙 大筆(中鋒) 兼毫
馬毛
楷書から行書まで幅広く対応
書初め 条幅 条幅筆 兼毫
洋毛
墨含みが良く、大きな文字が書きやすい
仮名作品 半紙
料紙
長鋒筆 洋毛 線の強弱や流れるような表現ができる
写経

写経用紙

写経筆 兼毫
馬毛
細かな文字を安定して書ける
のし袋 のし袋 小筆 兼毫
馬毛
穂先がまとまりやすく文字を整えやすい
芳名帳
宛名書き
葉書
芳名帳
封筒
小筆 兼毫
馬毛
名前や住所をきれいに書きやすい


毛の種類の特徴
・羊毛:柔らかく墨含みが良い。伸びやかな線や大きな作品向き。
・馬毛:適度な弾力があり扱いやすい。楷書や催事向き。
・兼毫:羊毛と馬毛などを組み合わせた筆。バランス良く初心者にもおすすめ。

 筆に使われる毛によって、書き味や表現できる線は大きく変わります。初めて筆を選ぶ方には、扱いやすく幅広い用途に対応できる兼毫筆がおすすめです。

 

文具クワウチ筆売り場では説明を1点ずつ記載しております。

文具クワウチでは売り場にふでの毛の種類や用途についての商品説明を1点ずつ記載しております。ぜひご参考になさってください。

<初心者におすすめの筆はこれ>

あかしや 書道セット AF251

・商品詳細はこちら

文具クワウチが販売するあかしや書道セットです。

5.筆を長く使うためのお手入れと保管方法

新しい筆には、穂先をのりで固めた「固め筆」があります。
使う前に指先でやさしくほぐし、水またはぬるま湯でのりを落としてから使用します。
使用後は墨をしっかり洗い流し、穂先を整えて乾燥させましょう。特に大筆は穂先を傷めないように吊るして保管すると長持ちします。

まとめ

筆は見た目が似ていても、書く内容や用途によって適したものが異なります。
筆選びに迷ったときは、まず「何を書くのか」を考えてみましょう。
漢字を書くのか、仮名を書くのかによって適した筆は異なります。また半紙に書くのか、書初め用紙や条幅に書くのかといった紙の大きさによっても選ぶべき筆は変わります。さらに学校の書写で使うのか、作品制作で表現を楽しみたいのかによっても、求める筆の特徴は異なります。用途に合った筆を選ぶことで、文字は格段に書きやすくなります。
まずは自分がどのような場面で使うのかを確認し、それに合った一本を選びましょう。

文具クワウチでは、筆耕士として実際に筆をつかっている経験を活かしながら、お客様の用途に合わせた筆選びをお手伝いしています。
ぜひお気軽にご相談ください。

【店舗情報】
執筆者:文具クワウチ 筆耕士 桑内 彩
大阪府高槻市高槻町15-24/JR高槻駅・阪急高槻市駅の間)
昭和5年創業。高槻センター街で文具専門店として、手書きの道具や紙を通じて「心を届ける時間」をご提案しています。
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