筆耕士が教える年賀状の宛名書きのポイント~美しく整える心のこもった年賀状の書き方~
年末になるとそろそろ準備を始めたくなるのが年賀状です。
受け取った瞬間に「その人らしさ」が伝わるのは、何より宛名面。
手書きの文字があるだけで、してに伝わる温かさや気持ちのこもり方が違います。
私は筆耕士として、これまで番組タイトル文字、京都老舗昆布店の商品名文字をはじめ、年賀状や金封、命名用紙などの代筆を日常的に手掛けてきました。
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この経験を活かして、久しぶりにペンを持つ方にも書きやすく、美しく見えるコツをお伝えいたします。
1.書く前に紙とペンを選ぶ。
使う紙とペンの相性は仕上がりに大きく左右します。
・和紙はがきやざらついた紙は、インクがにじみやすいので注意。
・速乾タイプの筆ペンや耐水性のサインペンがおすすめ。
・毛筆タイプの筆ペンは柔らかい印象を与えるので、宛名や祝辞用に最適。
ポイント:久しぶりにペンを握る方で筆ペンを使用される場合、ペン先が硬いものがお勧めです。
2.宛名の位置と文字の大きさを決める。
宛名面は中央に配置すると全体が整って見えます。
・宛名(例:佐藤涼子様):やや大きく中央に。
・住所:控えめに整える。
参考:宛名レイアウト図(縦書き)
3.書く順番を整える。
筆耕では、書く順番を正しく守ることが仕上がりの美しさに直結します。
書く順番のおすすめは次のとおりです。
1.郵便番号
2.宛名(中心を先に決めてイメージをつかむ)
3.差出人住所・差出人名(印刷されている場合は省略)
4.送り先住所
左から順に流れるように書いていくイメージです。
この順番を守るだけで、文字の重なりやスペースの配分に迷わず、全体が自然と整うため、だれでも美しいレイアウトとなります。
4.文字のバランスとリズムを整える。
・姓名の高さや幅を揃える。
・行間や字間を均等に保つ。
・宛名は中央に大きめ、住所は控えめ、敬称は小さめに書く。
・線の強弱で柔らかさや温かみを表現する。
このリズムを意識すると、文字に動きと温かみが生まれます。

5.心を込めて書く。
年賀状の宛名は文字の美しさと同じくらい心のこもり方が大切です。
・一文字一文字を丁寧に書く。
・線の強弱や流れで温かみを表現する。
・敬称は相手に合わせて正しく記載する。個人名には「様」、会社宛は「御中」が一般的です。
6.練習と下書きで仕上げる。
・練習用紙で文字の形やレイアウトを確認する。
・必要なら鉛筆で下書きしてから清書する。
・焦らず、一枚一枚丁寧に書く。
ひと手間加えるだけで、受け取った人が「丁寧に書かれた」と感じる年賀状になります。
7.筆耕士がお勧めする筆ペン
| 種類 | 特徴 | 用途 | お勧めの方 | 代表商品 |
| 速乾筆ペン(硬質・軟筆両用タイプ) | ・線が締まり、滲みにくい。 ・1本に軟筆太字と硬筆細字両用なので線の強弱を1本でかき分けしやすい。 |
郵便番号・宛名書き、どちらにも使用可能。 | 初心者~中級者 | |
| 速乾毛筆タイプ | ・発色豊かで柔らかい印象になる。 ・穂先が柔らかいため慣れが必要。 |
大きめの宛名、祝辞用 | 手書きに慣れた方 | ぺんてる速乾筆ペンXFPD5L ・中字はこちら ・極細はこちら |
まとめ
年賀はがきとペン選び、宛名の位置や文字の大きさ、書く順番、文字のバランス、心遣いを意識して丁寧に書くこと。
練習と下書きで仕上げれば、美しく整った手書きの年賀状が完成します。
手書き好きのあなたも、久しぶりの方も、筆を持つ楽しさを感じながら、一枚ずつ心を込めて書いてみませんか。
筆者:文具クワウチ(大阪府高槻市)筆耕士 桑内 彩
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